【飛び石被害】フロントガラスの修理で車両保険を使った際の等級やリペア工程などを解説

飛び石でフロントガラスに傷がつく

飛び石でフロントガラスに傷やヒビができてしまった場合、その傷が小さいからといって放置するのはよくありません。すぐにでもフロントガラスのリペアを得意とする自動車ガラス修理専門店や保険会社などに連絡をして、修理の相談をするようにしたいものです。

というのも、修理をするのが早ければ早いほど、傷が目立たなくなる可能性も高くなるからです。「小さい傷だし、そんな大げさに心配しなくても大丈夫だろう」と思って放置しているとヒビが伸びていき、最悪の場合、フロントガラス自体を交換することにもなりかねません。何事も早めの対処が肝心です。

今回は、飛び石でフロントガラスが傷ついた場合、車両保険を使うとどうなるのかといったことからフロントガラスのリペア方法まで、知っておいて損はない情報をまとめてみました。

車両保険で飛び石による損害は補償される

飛び石で車が傷ついた場合、車の損害を補償するのは車両保険です。車両保険の支払い対象となる損害としては、洪水や高潮などの水災や盗難などいろいろあります。飛び石被害は「飛来中または落下中の他物との衝突」という損害に該当し、車両保険での補償の対象となっています。

車両保険の一般タイプ、エコノミータイプのどちらも飛び石被害は補償されます。

icon-arrow-circle-right 車両保険とは|エコノミー型や一般型など。車両保険の補償内容について

ただし、車両保険で車対車タイプを選択している場合は、要注意です。車対車タイプは「車との衝突事故のみ」を補償します。「飛来中または落下中の他物との衝突」は補償対象外となり、損害は補償されません。自分が加入している車両保険はどのタイプで、補償範囲はどうなっているのか、よく確認しておきましょう。

また、飛び石によるフロントガラスの修理で車両保険を使うと、1等級ダウン事故となります。1年間事故あり等級となり、翌年の保険料が上がります。

icon-arrow-circle-right 1等級ダウン事故とは|等級据え置き事故ではなくなった

icon-arrow-circle-right 事故あり係数適用期間とは|自動車保険の「事故あり等級」はいつまで続くのか?

「飛来中または落下中の他物との衝突」となる場合とは

「飛来中または落下中の他物との衝突」とは、飛び石以外にどういうものがあるのでしょうか。

  • 山道で落石があり、石が車体に衝突した。
  • 風であおられた物が車両に向かって来たため、ぶつかってしまい傷がついた。
  • 屋根の上に積もっていた雪がまとまって落ちてきて、ボンネットがへこんでしまった。

上記のような場合は、「飛来中または落下中の他物との衝突」となります。

雪があまり降らない地域に住んでいると、雪による車の損害をイメージしにくいかもしれません。雪は車にとってとても厄介です。高速道路を走る際は特に、車の上に積もった雪をしっかりと落としてから運転をする必要があります。

■Ice Sheet Destroys Windshield Saab 9-5


※I-495(マサチューセッツ州の高速道路)

屋根の上などに降り積もった雪は、最初は柔らかい雪ですが、気温が低いので、氷のように固まることもあります。

このドライブレコーダーの映像を見ると、氷になった雪が、車に大きな損害を与えていることがわかります。ふわふわと軽い感じて何かがこちらに飛んできたと思ったら、いきなりフロントガラス全体にヒビ。実際にこの映像のようになってしまったら、かなり驚いて動揺してしまいそうですよね。

しかし、このような飛来中の他物との衝突があっても、このドライバーのように冷静に運転をし続けることが大切です。車を安全に停車させられるよう対処したいものです。

「飛来中または落下中の他物との衝突」とはならない場合とは

「飛来中または落下中の他物との衝突」とならない場合とは、つまり、道路に落ちているもの、落下物ということになります。

  • 崖から落下した岩が路上にあったため、衝突してしまった。
  • 強風で飛んできた物体が路上に落ちたままになっていたため、衝突した。

路上にある落下物に衝突すると、自損事故となります。車両保険を使うと3等級ダウン事故扱いです。3年間は事故あり等級扱いされ、保険料も高くなってしまいます(車両保険のエコノミータイプでは自損事故は補償されません。一般タイプに加入しておく必要があります)。

しかし、次のような場合はどうでしょうか。

  • トラックの荷台から落ちた積み荷が路上にあったため、衝突してしまった。

これも路上にある落下物です。しかし、自分の車の前を走っている車が落とした物だった場合は、相手方の対物賠償保険で補償される可能性が高いです。

過失割合は状況によって異なります。積み荷を落とした車の過失が大きくなりますが、後続車にも前方注視の義務がありますから、その分の過失が発生します。一般的には、6(相手方):4(自分)となることが多いようです。夜など視界が悪い場合は、落下物を見つけにくく、回避するのが困難になるため、積み荷を落とした車の過失が上乗せされることもあります。

落下してからだいぶ時間が経っている物にぶつかった場合は、自損事故として処理される可能性が高いです。

車両保険を使う前に確認したい免責金額

車両保険には免責金額があります。免責金額とは、修理する際の自己負担額のことです。

例えば、免責金額で「5-10」を選択していた場合は、1回目の車両事故での自己負担額は5万円、2回目の車両事故での自己負担額は10万円ということになります。

2回目の事故で修理代が21万円だった場合は、自己負担額10万円なので、保険金は11万円支払われることになります。

車両保険を使わず修理するのもあり

フロントガラスのリペア


フロントガラスのリペア価格としては1万~2万円といったところです。傷・ヒビの大きさや数によって、修理代は高くなったりもします。

リペアするのに1万円程度の出費で済む場合は、車両保険を使わずに自腹で修理する人もいます。翌年の保険料が高くなることなどを考えると、車両保険を使わない方が良い場合もあります。

保険を使えば翌年の保険料が上がります。保険を使うかどうかは、修理代や免責金額、翌年の保険料(保険を使った場合と使わなかった場合)を比較して決める必要があります。

どうすればいいかよくわからないときは、一度、保険会社に相談してみるといいでしょう。「相談したけれど、保険は使わない」とすることもできます。また、「修理代が安いからやっぱり保険は使いたくない」とすることもできます。変更の場合の連絡は、早めにするようにしましょう。

車両保険を使わずにフロントガラスが修理できるスバル自動車保険

スバル レヴォーグのようなアイサイト搭載車両の場合、フロントガラスが飛び石で傷つくと問題です。「ぶつからないクルマ」としてよく知られているアイサイト機能が発揮できなくなる可能性があるからです。アイサイト搭載車の場合、リペアではなく、フロントガラス自体を交換することが多いです。

フロントガラスの交換では、工賃だけではなくアイサイトの調整費用もありますから、一般的なフロントガラスの交換よりも価格が少し高くなります。相場としては、約20万円といったところです。

しかし、ディーラーでスバル自動車保険に加入していた場合は、アイサイトプラスというアイサイト搭載車限定のプレミアムサービスを受けることができます。

このサービスの魅力は、車両保険を使わずにフロントガラスのリペアができるところにありますから、免責3万円で、フロントガラスの交換とアイサイトのエーミング(自動調整)をしてもらうことができます。

icon-arrow-circle-right アイサイト搭載車のフロントガラス修理なら、車両保険を使わないスバル自動車保険

飛び石被害で損害賠償は難しい

飛び石は自分に責任がある事故ではありません。修理代が予想以上にかかると、「車の損害賠償請求をしたい」という気持ちが出てくるかもしれません。

しかし、損害を賠償請求することは、まず無理でしょう。どの車が石を飛ばしたのか、特定することが難しいからです。

仮に石を飛ばした車がわかったとしても、相手方に「故意または過失」がなければ、損害を賠償してもらうことはできません。ドライバーが道路に落ちた小さな石を見つけて、それを回避して運転することは不可能ですから、誰にも過失はないということになります。自分の車両保険を使って修理するしかないようです。

フロントガラスの小さい傷を放置すると、なぜヒビが伸びるのか

フロントガラスの小さい傷を放置すると、ヒビが伸びることがあります。どうしてこのような現象がおきるのでしょうか。

まず、車で使うガラスは、用途に応じた加工がされています。ガラスの割れ方に違いがあります。フロントガラスの場合は、走行中に割れても飛び散らないように、合わせガラスになっています。また、サイドにあるガラスは、割れても尖らない(粒状に砕ける)熱処理ガラスが使われています。

合わせガラスの構造

フロントガラスに使われる合わせガラスは、2重構造のガラスです。2枚のガラスが中間膜を挟み込むようにして接着されています。

飛び石でフロントガラスが傷ついた場合、車外(外側)の板ガラスだけが傷ついている状態です。傷ついた箇所は、水や空気などが入り込みやすくなります。

また、傷がついている分、外からの衝撃などにも弱くなっています。ヒビが伸びるケースとしては次のようなものがあります。

  • ドアを勢いよく閉めた
  • 猛暑日に洗車をした
  • ヒーターの風をガラスに当てた

合わせガラスになっているので、ガラスに圧力や振動、温度差が加わると、簡単にヒビが伸びてしまうというわけです。

早めに修理する必要があるということを冒頭でもお話しましたが、傷にホコリやゴミが付いていると、リペアに使う樹脂が浸透しにくくなり、その結果、十分な処置ができず、リペア後もヒビが伸びる可能性が高くなります。

放置したことでヒビが伸びた場合は、1万円程度の修理代では済まなくなります。運転中にフロントガラスに一気にヒビが入ってしまうこともありますから、大きな事故に発展する前に、修理をする必要があると言えるでしょう。

ガラスに傷があると車検に通らないこともある

保安基準(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2010.3.29】〈第三節〉第 195 条(窓ガラス))によると、

  • 損傷した場合においても運転者の視野を確保できるものであること。
  • 容易に貫通されないものであること。

とあります。フロントガラスはドライバーを守る役割もあります。また、傷が長く伸びてしまうと、車検に通るのが難しくなります。特に運転席側に付いた傷は、視界が悪いと判断される場合が多いようです。

【フロントガラス傷リペア動画】リペアキットを使って修理する

フロントガラスの修理ができるウィンドリペアキットが販売されています。自分で修理してみたいと考えている人もいることでしょう。

海外のyoutubeですが、リペアキットの使い方を説明している動画があったのでご紹介します。フロントガラスをきれいにリペアしています。簡単な訳も載せていますので、参考にしてみてください。

■How to Repair a Windshield Chip or Crack


■フロントガラスにできた傷のリペア方法

[0:05]高速道路でダンプカーの後ろを走っていたら、石が落ちてきてフロントガラスに当たりました。

[0:15]リペアキットを買ってきたので、傷がこれ以上フロントガラスで広がらないようにします。

[0:29]まず、ガラスの表面を拭いてきれいにします。

[0:35]マイクロファイバータオルにアルコールをつけます。アルコールをガラスや傷に直接かけずに、タオルを使います。

[0:43]アルコールなら乾きが早い。ガラスクリーナも使えるけれど、傷にはかけないこと。タオルに付けて拭くようにします。

フロントガラスのリペアキット

[0:50]これがフロントガラスのリペアキット。これから使う物で、10ドルで購入しました。

[0:54]リペアキットの中身。これから修理をはじめます。

[0:58]傷がよく見えるように、フロントガラスの後ろに紙などを置くといいです。テープを傷のまわりに貼ります。これで、作業箇所がよくわかるようになります。

[1:09]最初、先がとがったもので、欠けた箇所をきれいにします。ガラスが傷に残らないようにします。

[1:21]次に、傷が中央の穴にくるように、丸い両面テープを貼ります。

シールをはがす

[1:40]両面テープのもう一方をはがします。粘着部が現れます。

[1:46]両面テープの上に台座を乗せます。上下に注意して貼ります。

[1:56]貼った後、よく押さえます。これで、傷が完全にカバーされた状態になります。

レジンを使う

[2:01]ここで、レジンを取ります。はさみでチューブの先を切ります。

[2:04]レジンを4分の3注入します。

[2:08]ここでシリンジ(注射器の筒)を手に取り、台座に押し入れます。片手でシリンジを押さえながら、シリンジを上に引いて、クリップでロック。これにより、中の空気が吸われ外に出てきます。

[2:34]説明書にある通り、このまま10分待ちます。シリンジの周囲を軽くたたきます。これによって、中の空気が傷がついた箇所から外に出やすくなります。強くたたき過ぎないように注意。

[2:49]ここで、車内からフロントガラスの傷を見ます。泡が吸いだされているのがわかります。

[2:55]10分後、傷ついた箇所に泡がなくなっているのがわかります。外に出て、次のステップに移ります。

[2:59]10分経ったので、シリンジの根元を片手で押さえながら、シリンジを一度抜いて空気を入れます。再度シリンジをもとに戻します。空気がしっかり入っているようにします。

[3:11]今度はクリップを動かして、シリンジを下に押していきます。圧力をかけ、空気を中に押し入れます。圧力がかかることで、レジンが傷の中に入り込んでいくことになります。この状態で、20分間待ちます。

シリンジを抜く

[3:24]20分後、シリンジを抜きます。

[3:32]ここで、安全カミソリで台座の下の両面テープを少しはがします。そして台座を取ります。

[3:47]周辺のこぼれたレジンをタオルで拭きます。

泡を出す

[3:52]ここで、余っているレジンを傷の真上から落とします。正方形のシートを傷の上に乗せて、泡が外に出るように、安全カミソリを使って表面をなでます。

[4:13]太陽光が当たった状態で、このまま15分ほど待ちます。曇っていたり日陰だったりするときは、1時間くらいかかります。※注 レジンは紫外線で硬化するので太陽光が必要。

[4:20]しかし、今回は15分程度。※天気がいいので。

[4:22]15分後、正方形のシートをはずします。できるだけガラスと(安全カミソリを)平行にして、いらないレジンだけを削ぎ落します。これで完了。

[4:44]傷が見えるかどうか。よく見ると、小さい点があるという感じになっています。

[4:50]傷がそこになんとなくあるというのがわかります。ちょうどここ。とても小さい点があるというだけになっている。このリペアキットはいい仕事をしてくれます。

フロントガラスの傷修理後

[4:58]ここで、周辺のテープを取ります。これですばらしい状態となったことがわかります。

[5:10]フロントガラスに付いた傷の取り方でした。ヒビが上に伸びていくのを防ぎたいから、すぐに修理したいという人もいるかもしれない。このビデオが役に立ったらうれしいです。お金を節約して自分の車を修理してみてください。他のリペア動画もあります(と言って、今回のリペア動画を締めくくっている)。


海外だと10ドルくらいでリペアキットが手に入るようですね。日本では、2000円~3000円くらいで販売されています。

確かにフロントガラスの修理専門店に依頼するよりも安いわけですが、自分ですると失敗する場合ももちろんあります。

シリンジで空気を抜く工程がありましたが、ガラス修理専門の業者に頼むとポンプで空気をしっかり抜いていきます。リペアキットは安いだけにどこまできちんと修理できるのか、少し不安な部分があります。

一度リペアした箇所は、再度リペアすることはできませんから、失敗するとやり直しすることはできません。業者に最初から頼む方が安くつくこともあるでしょう。デメリットなども含めて、どのように修理するか、よく検討する必要がありますね。

傷がついたらシールで応急処置とヒビを伸ばさない工夫を

飛び石でフロントガラスに傷が付いたら、傷がついた箇所にホコリや水などが入らないように、応急処置シールを張っておくといいです。

「ひびペッタン」というシールがあります。飛び石でフロントガラスに傷がついたときの応急処置として、車に常備しておけば安心です。価格は500円程度です。

勢いよく車のドアを閉めると、それが原因でヒビが伸びることがあります。また、温度差によって、ヒビが伸びることがあります。ガラスの一部だけにヒータの風が当たるというようなことも避けましょう。

傷が丸くなっているものより、1本の細い線のようになっているものの方が、傷が伸びやすいです。応急処置のシールを貼ったら、早めに修理をするようにしましょう。

フロントガラスに小さな傷ができた場合、リペアキットで修理するか車両保険を使うか悩むところです。自動車保険の中でも車両保険は比較的高いです。車両保険の見直しも含めていろいろな方向から考えたいという方は、下記の記事をご覧ください。

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自動車保険の見直しのポイントについては、下記の記事を参考にしてみてください。

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