無保険車傷害保険(特約)の補償内容を解説。人身傷害補償保険との関係など

無保険車傷害保険とは

無保険車傷害保険とは


無保険車傷害保険(特約)は、自動車保険に加入していない相手との事故や当て逃げされた場合などに備えるための保険です。

損害保険料率算出機構の損害保険料率算出機構統計集によると、2016年3月時点での対人賠償保険の加入率は、74.1%となっていますから、およそ25%は対人賠償保険に未加入ということになります。

ただ、この数値には、共済に加入している自動車の割合が入っていません。そこで、同じく損害保険料率算出機構の自動車保険の概況(自動車保険関連統計)を見ると、自動車共済への加入は13.9%となっています。合計すると88%が任意保険の対人賠償保険に加入していることになります。逆に言えば、およそ12%の自動車は未加入ということになります。

自動車検査登録情報協会のデータを見ると、日本の自動車保有台数は、2016年12月末現在で81,602,046台。このうちの12%、台数にしておよそ1000万台が未加入となります。台数で考えると少なくないとわかりますから、わりと身近に感じることができます。


強制保険とも言われる自賠責保険では、対人賠償の場合は3000万円まで、後遺障害の場合は4000万円まで補償されます(参照記事:自賠責保険の補償額だけでは不十分)。一見すると金額的には多いような気もします。しかし、3億円を超える損害賠償金になることもありますから、3000万円、4000万円は補償として十分とは言えません。

任意保険の対人賠償保険は、対物賠償保険とともに無制限に設定するのが一般的です。そんな中、対人賠償保険に未加入の自動車が約1000万台もあるとなると、自分が無保険車との事故に遭う可能性は十分にあると言えます。

無保険車傷害保険は、ほとんどの自動車保険に自動セットされています。

しかし、補償範囲が限られていたりするので、どういう内容になっているのかをしっかりと確認しておきましょう。

無保険車傷害保険の補償範囲

無保険車とは一体どういうものなのでしょうか。一般的に無保険車となるケースとしては、次の通りです。

  • 対人賠償保険などに未加入
  • 対人賠償保険などに加入しているが、運転者が家族限定等の条件によって補償対象外になっている
  • 対人賠償保険などに加入しているが、補償額よりも損害賠償額が上回っている
  • 当て逃げ、ひき逃げの場合

相手自動車が明らかでない当て逃げやひき逃げの場合も、無保険車とみなして保険が適用されるのが特徴です。

補償の対象となる被保険者は、次のようになっています。

    1、記名被保険者(主に運転者)
    2、1の配偶者(内縁を含む)
    3、1または2と同居している親族
    4、1または2と別居している未婚の子
    5、1から4以外で、契約車両に搭乗中の人(他人)

無保険車傷害保険の補償範囲としては、

    A、契約車両に搭乗中の事故

Aのみが一般的ですが、保険会社によっては、

    B、他の車に搭乗中の事故
    C、歩行中などの自動車との事故

B、Cまで幅広く補償している場合もあります(B、Cは、被保険者とその家族に限る)。

AからCまでを補償している保険会社としては、「セゾン自動車火災保険 おとなの自動車保険」「アクサダイレクト 自動車保険」があります。※2017年4月時点

無保険車傷害保険の補償限度額

無保険車傷害保険は、補償の対象となる人が死亡、もしくは、後遺傷害を負った場合に補償してくれます。ケガに対する補償や対物賠償はないので、注意が必要です。

支払われる保険金額は1名につき、無制限、2億円というように設定されているのが一般的です。保険会社によって設定金額が異なります。

補償額を無制限としている保険会社としては、セゾン自動車火災保険、ソニー損保、損保ジャパンなどがあります。

補償額を2億円としている保険会社としては、アクサダイレクト、三井ダイレクト、イーデザイン損保などがあります。※2017年4月時点

無保険車傷害保険を使った場合、等級はどうなるのか

無保険車傷害保険を使用しても、翌年の等級はさがりません。人身傷害補償保険と同じく、ノーカウント事故に該当します。

無保険車傷害保険の保険金が支払われないケースとは

無保険車傷害保険で保険金が支払われない場合は、次の通りです。


保険金が支払われないケース

  • 無免許運転、飲酒運転、麻薬等による運転
  • レースやラリーなどの危険な運転
  • 自殺行為、犯罪行為
  • 地震、噴火、津波によって生じた損害
  • 被保険者の父母、配偶者または子などが賠償義務者となった場合の損害
  • 医師による他覚所見のない後遺障害または傷害 など


被保険者の故意または重大な過失などによって生じた損害の場合は、保険金が支払われません。

人身傷害補償保険に加入していた場合の保険適用例

無保険車傷害保険と人身傷害補償保険は、補償範囲で重複している部分があります。例えば、運転者が死亡もしくは後遺障害を負ったという場合には、どちらの保険も損害を補償してくれます。しかし、保険の適用には優先順位があります。

無保険車傷害保険は、自賠責保険や人身傷害補償保険などの保険金額を越える部分の損害賠償額に対して支払われるものとなっています。

また、自分に過失がある場合、無保険車傷害保険は過失割合分については補償してくれません。人身傷害補償保険の場合は、過失割合に関係なく「実際の損害額」を補償してくれるので、人身傷害補償保険に加入しておくと心強いです。人身傷害補償保険であれば、死亡や後遺障害の他に、ケガをした場合も補償してくれます。

では、人身傷害補償保険に加入している場合、どのようにして無保険車傷害保険が適用されるのでしょうか。具体例を見ていきます。

契約内容など諸条件が、次のようになっていたと仮定します。

契約内容など諸条件
    被害者の状態:死亡
    過失割合:加害者100%、被害者0%
    損害賠償額:9000万円
    人身傷害補償保険:5000万円
    無保険車傷害保険:2億円

損害賠償額9000万円の支払いは、次のように構成されます。

自賠責保険3000万円+人身傷害補償保険2000万円+無保険車傷害保険4000万円

まず、自賠責保険から死亡時の3000万円が支払われます。そして損害賠償額の不足分を人身傷害補償保険で支払いますが、5000万円が上限なので、5000万円-3000万円=2000万円が人身傷害補償保険で支払われます。この時点でも、まだ損害額4000万円が不足していますから、最後に無保険車傷害保険で支払うことになります。

今回の条件では、損害賠償額9000万円でしたから、無保険車傷害保険で支払うことができました。しかし、最後の不足分が無保険車傷害保険の上限2億円を超えた場合は、満額での支払いとはなりません。

保険会社によっては、無保険車傷害保険の支払いを無制限に設定しているところもありますから、いろいろと検討してみるといいでしょう。


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