堤防道路では事故が多発している

堤防道路は危険

土砂を盛り上げた治水構造物を堤防と言います。住宅街に海や川の水が浸入しないようにしているわけですが、日本は海や川が多いので堤防が数多くあります。堤防は道路としても活用されています。

堤防道路は信号や交差点がありません。また、見通しも良いです。車を運転しやすい道路なので、事故が少ないのかというとそうではありません。堤防道路での事故は多発しています。

堤防道路はなぜ危険なのか?

堤防道路では、なぜ事故が起きやすいのでしょうか。危険な道路になってしまうのには、いくつかの理由があります。

自動車の速度が出やすい

堤防道路は、信号や交差点がない道路です。比較的まっすぐな道であることが多く、スピードが出やすくなっています。その便利さから抜け道として利用するドライバーも多いです。堤防道路には、歩道や路側帯がありません。ちょっとした操作ミスから自損事故や歩行者に重傷を負わせる事故に繋がってしまいます。

見通しがよい道路なので油断する

堤防道路は多くの場合、見通しが良い道路となっています。しかし、河川敷から上がってくる歩行者は道路に上がってくるまでまったく見えません。油断してスピードを出していると、歩行者と衝突する事故に繋がります。

河川などの地形によって、道幅が急に狭くなる

堤防や河川の地形によって、堤防道路の道幅は急に狭くなったりします。対向車とすれ違う場合、ハンドル操作を誤り、道路脇に転落することもあります。堤防道路にはセンターラインがないことが多いです。走行中、自分の車の位置感覚をつかみにくくなっています。雨の日の運転は滑りやすいため、転落の危険性が高まります。

ガードレールがない場所が多い

堤防の目的は、河川などの水が入らないようにすることにあります。ガードレールを取り付ける際には、基礎となる土台が必要になるわけですが、雨水がそこから染み込むと、堤防の構造が弱くなったり浸水の原因になったりします。堤防道路はガードレールによる安全対策が期待できません。転落・滑落の危険性が高いと言えます。

堤防道路は暗い

堤防道路には街灯がほとんどないため、夕方や夜間などは自転車や歩行者の存在に気付かないこともあります。

【天端・法面・法崩れとは?】堤防道路の管理について

堤防道路の用語
  • 天端(てんば)とは、堤防やダムの一番高い部分のことです。
  • 法面(のりめん)とは、土を盛ることによって作られた人工的な斜面のことです。
  • 法崩れ(のりくずれ)とは、芝を張っている堤防の法面が崩れてしまうことを言います。

堤防道路には斜面(法面)に芝が張られていたりします。これは、斜面を芝で覆うことで、雨や流水などによる法崩れを防ぐという目的があります(ただし、急流部など斜面が浸食されやすい箇所では、コンクリートによる護岸がされます)。

芝を張っている堤防の管理は大変です。芝は伸びていきますから、定期的な堤防除草が必要になります。除草することで、堤防斜面の亀裂や崩れが見つけやすくなる、害虫の発生防止、景観の維持、不法投棄の抑制にもなります。除草範囲は広いため、除草、運搬、焼却にもかなりの予算を使うことになります。刈り取った芝は農作物の栽培などに活かすことで、予算削減に繋げています。

また、重量オーバーの車両や暴走車両が通行することによって、堤防天端道路に傷つきます。そこから雨水が浸透していくと、堤防の強度が低下します。亀裂(クラック)や穴がないかどうか、定期的な見回りも堤防管理には必要となっています。

平成27年9月関東・東北豪雨では、堤防の決壊や越水、堤防法面の欠損・崩落もありました。河川パトロールの効率化や減災対策として、堤防天端の塗装(天端アスファルト塗装)も進められています。堤防天端の道路を塗装をすることで、越水しても決壊を遅らせる、被害の最小化、避難時間の十分な確保といったことが期待されています。

堤防道路で安全に運転するために

堤防道路での事故対策

  • 堤防道路では漫然運転しない
  • 堤防道路ではスピードを出さない

ぼんやりと考え事をしながら運転することを「漫然運転」と言います。堤防道路には大きな事故に繋がる危険性が数多くあります。事故に繋がる可能性があることを常に意識して運転する必要があります。

また、スピードを出さずに走行することも大切です。速度が遅いと、道幅が急に狭くなって転落したり、歩行者と衝突したりという可能性も減ります。

上記のことは堤防道路に限ったことではありませんが、「堤防道路は危険な道路である」という認識を持つことが大切です。


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