【任意保険】家族の等級を引き継ぐ際の手順や等級引継ぎ後の保険料などを解説
自動車保険の等級は、他の保険会社に引き継いだり家族の間で引き継いだりすることができます。家族間での等級引継ぎ(継承)の場合、上手に利用すれば保険料を抑えることに繋がっていきます。
自動車保険の保険料は、記名被保険者の事故リスクによって算出されます。リスク細分型自動車保険では、リスク分析に用いられる要素がいろいろとありますが、中でも「年齢」と「事故歴」が保険料に大きく影響してきます。
運転者年齢条件は、全年齢補償、21歳以上補償、26歳以上補償、30歳以上補償というような分類が各保険会社でされていて、全年齢補償を選択すると保険料が一番高くなります。
また、ノンフリート等級制度では、事故歴に応じて保険料の割引率や割増率が設定されています。事故を起こしやすい人の保険料は高くなるようになっています。若年者の事故率が高いことから、20歳以下は特に保険料が高くなります。
初めて自動車保険に加入するときは、原則として6等級からスタートします。年齢が20歳以下の場合、全年齢補償を選択することになります。そして、6等級の中でも20歳以下という年齢によってさらに分類され、割増率が適用されることになりますから、保険料がかなり高くなってしまいます。
保険料が割高になってしまう要素があるなら、家族間での等級引継ぎを検討してみてください。保険料の面で有利になる場合があります。等級を引き継ぐことができる家族がいるかどうか、保険料節約のためにも確認してみることをおすすめします。
家族間で等級を引き継ぐ|どういう場合があるのか
家族間で等級引継ぎをする例としては、次のようなものがあります。
中断証明書を利用するとき
中断証明書を使う際、「新しい契約での記名被保険者及び車両所有者は、旧契約とそれぞれ同一であること」という条件があります。
中断証明書を発行する前後において、記名被保険者と所有者が同一である必要がありますが、自動車保険では、旧契約の記名被保険者の配偶者や同居の親族は同一とみなされます。
車に今後乗らないという人が家族にいて、子供がいずれ免許を取得するだろうという場合、将来に備えて中断証明書を発行しておくといいでしょう。保険料の節約に繋がります。
子供がはじめて車に乗るとき
子供がはじめて車を購入して乗るとき、親から子供に等級の引継ぎをする場合があります。父親は新たに保険に加入することになりますが、年齢が高い分、保険料が若い人よりも安くなります。家族全体で見たとき、支払う保険料を抑えることができます。
親子で等級の引継ぎ|保険料がどれくらい安くなるのか
家族の間で等級引継ぎをする場合、保険料がどのくらい安くなるのかが気になるところです。
父親の等級を20歳の娘が引き継いだ場合と引き継がない場合について、実際に見積もりを取って、保険料を比較してみました。
■見積りした車の基本情報
車両(軽自動車) ホンダN-BOX / グレード タイプC / 型式 DBA-JF1 / 初度登録年月 平成28年12月■主に運転をする人(記名被保険者:娘)の情報
主な使用地(都道府県)広島県 / 免許の色 ブルー / 運転者の範囲 記名被保険者とその家族に限定 / 運転者年齢条件 全年齢補償 / 主な運転者年齢 20歳■自動車保険の内容
事故有係数適用期間 0年 / 使用目的 主に家庭用 / 予想年間走行距離 9,000km以下 / 対人賠償保険 無制限 / 対物賠償保険 無制限 / 搭乗者傷害保険 なし / 人身傷害保険 3,000万円(車内のみ補償タイプ) / 車両保険 なし / 付帯した特約 弁護士費用特約 / インターネット割引あり / 見積もりした保険会社 ソニー損保
等級 | 保険料 |
6等級(新規加入) ※等級引継ぎ無し |
179,760円/年 |
16等級(無事故) ※等級引継ぎあり |
64,420円/年 |
18歳、19歳、20歳の場合、運転者年齢条件は全年齢補償(年齢を問わず補償)になります。
娘さんの年齢は20歳です。6等級で加入した場合と16等級で加入した場合を比較すると、保険料が115,340円も違ってきます。この差はかなり大きいです。
179,760円という高い保険料になってしまうのは、20歳以下の新規加入6等級では28%の割増率が適用されるからです(新規契約におけるノンフリート等級制度)。父親から無事故の16等級を引継いだ場合は、52%の割引率が適用されるので、20歳の娘さんでも64,420円と保険料が安くなります。
今回の見積もりは車両保険がない場合です。車両保険を付けると、保険料の差がさらに広がります。車両保険によって、どのくらい保険料が高くなるのかといったことについては、下記の記事を参考にしてみてください。
トヨタ プリウスの保険料はいくら?【損保4社で比較】車両保険って高いの?
保険料を抑えるために、等級引継ぎ以外にも割引を徹底的に利用していくといいでしょう。
セカンドカー割引も適用すると、さらにお得に
セカンドカー割引は、複数所有新規割引とも呼ばれている割引で、通常6等級からスタートする新規契約を、7等級からスタートさせることができます。
2台目から自動車保険を安くする|セカンドカー割引の条件が知りたい
1台目の車の等級が11等級以上であることや、同居親族の車であることなど、一定の条件を満たすことでセカンドカー割引を受けることができます。2台目以降の新規保険契約が安くなるので、家族が新しく車を買った際には役に立つ割引です。
一般的には、保険会社が異なっても割引の対象となります。セカンドカー割引ができないかどうか、家の車が2台以上になる人は一度、ディーラーや保険会社で相談してみましょう。
新車購入の場合は、新車割引も忘れずに
新車を購入した場合は、新車割引もあります。保険会社によって、割引率が異なります。
自動車保険の新車割引で安く【見積もり前に確認】期間や割引率はどれくらい?
保険料を下げるためにも、受けられる割引はどんどん活用していきましょう。いろいろな割引を適用すると保険料の計算が複雑になってきます。一括見積もりサイトを利用すると保険料の比較も簡単です。
等級引継ぎでの「家族」の範囲に注意する
等級引継ぎができる「家族」は、次のようになっています。
■等級の引継ぎ可能
記名被保険者の同居の親族
記名被保険者の配偶者の同居の親族
家族の間で等級を引継ぐ場合、同居が条件となります。よって、親子であっても、別居の場合は等級引継ぎができません。
■等級の引継ぎ不可
子供が親元を離れて一人暮らしをするのであれば、親元を離れる前に、等級引継ぎの手続きをしておく必要があります。
等級引継ぎの手順とは
例えば、父親の等級を娘が引き継ぐ場合、等級引継ぎの手順は次のようになっています。
1、車両入替をする
- 父親の自動車保険の対象になっている車を、娘が新しく購入した車に変更する。
2、名義変更をする
- 父親の自動車保険の契約者と記名被保険者を娘の名義に変更する。
- ※父親は等級を娘に譲り渡すことになります。娘は父親の高い等級を引継ぎます。保険会社では、高い等級をつけた形で保険に加入することを「吐き出し新規」と言ったりします。
3、自動車保険に新たに加入する
- 父親は等級の引継ぎをしたことで、車があっても保険に未加入の状態となりますから、新たに任意保険に加入する必要があります。
契約者や記名被保険者など、名義が異なっていることもあります。間違いがないように、各保険会社で詳細を確認しながら手続きを行うとよいでしょう。
なお、単に車両を交換するだけでは等級の引継ぎはできません。等級引継ぎの前提として、次のように定められています。
- 家で利用する自動車が増える(増車)
- 自動車保険に加入していた自動車を廃車にする
家族間の等級引継ぎは、家にある自動車の台数が増えたり減ったりする際に適用できるものです。上手に利用して、保険料を安くしていきましょう。
>>自分の保険料をちょっと確認してみる