自動車の任意保険。対人賠償保険や車両保険など、全国で加入率はどれくらいなのか
全国の自動車保険(任意保険)種類別加入率データ推移
平成25年以降の任意保険の加入率推移は、次の通りとなっています。
保険種類 | 平成21年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 |
対人賠償保険 | 73.1 | 73.4 | 73.8 | 74.1 |
対物賠償保険 | 73.0 | 73.4 | 73.8 | 74.2 |
搭乗者傷害保険 | 57.5 | 41.7 | 34.0 | 29.3 |
人身傷害補償保険 | – | – | – | 68.0 |
車両保険 | 41.0 | 43.0 | 43.2 | 43.5 |
※注1:過去との比較のため、平成21年の加入率も載せています。
※注2:損保会社のみのデータで、共済は含んでいません。
対人賠償保険・対物賠償保険の加入率や傾向
「無保険車傷害保険とは」の記事でも少し触れましたが、平成27年の対人賠償は74.1%、対物賠償は74.2%となっています。
加入率としては、対人賠償・対物賠償共に、年々増加の傾向にあります。
人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険の加入率や傾向
人身傷害補償保険は、2000年前後に発売され始めたわりと新しい保険ですが、加入率は68.0%と高い数値となっています。
一方、搭乗者傷害保険の歴史は人身傷害補償保険よりも古いです。以前は加入率が高く、平成21年を見ると57.5%となっています。しかし、年々減少し、平成27年のデータでは29.3%となりました。搭乗者傷害保険の日数払い方式が以前は主流でしたが、ほとんどの保険会社で扱わなくなり、現在は、部位症状別方式が主流となっています。
また、部位症状別方式から、完全な一時金としての支払い方式に変更している保険会社もあります。詳しくは、下記の記事をご覧ください。
搭乗者傷害保険でいくらもらえる?日数払いや部位症状別払いなど金額について
保険会社を全体的に見ても、搭乗者傷害保険の補償額の規模が年々小さくなってきていますから、搭乗者傷害保険自体が廃止の傾向にあると言えるでしょう。搭乗者傷害保険よりも補償範囲が広い人身傷害補償保険に加入することで、搭乗者傷害保険を未加入にする人もいます。それが29.3%という加入率の低さに表れていると言えます。
車両保険の加入率や傾向
車両保険は、保険料を安くするために加入しない人もいます。また、中古車を購入した場合、車両保険は付けない人もいます。自分の車を修理するための補償ですから、加入率もそれなりの数値となっています。
加入率は平成27年で43.5%、過去を見ても、平成21年で41.0%となっています。自動車保険で加入することが必須と言われる対人賠償・対物賠償の74%や縮小・廃止の傾向にある搭乗者傷害の29%と比較しても、43.5%という数値はその中間です。
車両保険は被保険者の考え方によって、加入、未加入に分かれるという特徴が、数値にも表れていると言えます。
都道府県別【任意保険の加入率】対人賠償保険の加入率データ
ここからは、都道府県ごとに任意保険の加入率データを見てみます。ただ、対人賠償や対物賠償など保険の種類ごとにすべて載せても、都道府県の順位がほぼ同じで長くなってしまうので、対人賠償保険のデータを主に取り上げます。
平成27年の都道府県別の対人賠償保険加入率は次のようになっています。
順位 | 都道府県別 | 加入率 | 順位 | 都道府県別 | 加入率 | 順位 | 都道府県別 | 加入率 |
1 | 大阪 | 82.4 | 17 | 和歌山 | 74.6 | 33 | 長崎 | 66.9 |
2 | 愛知 | 81.5 | 18 | 茨城 | 74.3 | 34 | 佐賀 | 66.5 |
3 | 神奈川 | 79.9 | 19 | 岡山 | 74.3 | 34 | 熊本 | 66.5 |
4 | 奈良 | 79.5 | 20 | 宮城 | 73.8 | 36 | 鳥取 | 66.2 |
5 | 京都 | 79.4 | 21 | 石川 | 72.9 | 37 | 大分 | 66.1 |
6 | 千葉 | 79.0 | 22 | 富山 | 72.7 | 38 | 長野 | 65.5 |
7 | 兵庫 | 78.5 | 22 | 福井 | 72.7 | 39 | 山形 | 65.3 |
8 | 埼玉 | 78.3 | 24 | 徳島 | 72.6 | 40 | 岩手 | 63.7 |
9 | 東京 | 77.9 | 25 | 栃木 | 72.4 | 41 | 山梨 | 63.2 |
10 | 岐阜 | 77.7 | 26 | 山口 | 72.0 | 42 | 鹿児島 | 60.5 |
11 | 三重 | 76.7 | 27 | 群馬 | 71.7 | 43 | 秋田 | 60.1 |
12 | 福岡 | 76.6 | 28 | 愛媛 | 71.1 | 44 | 宮崎 | 59.3 |
13 | 広島 | 76.4 | 29 | 北海道 | 70.9 | 45 | 高知 | 59.1 |
14 | 静岡 | 76.1 | 30 | 青森 | 69.9 | 46 | 島根 | 57.4 |
15 | 香川 | 75.6 | 31 | 新潟 | 69.6 | 47 | 沖縄 | 53.5 |
16 | 滋賀 | 74.7 | 32 | 福島 | 67.3 | – | 全国 | 74.1 |
上記の表からもわかるように、対人賠償保険については、トップ3は、1位:大阪82.4%、2位:愛知81.5%、3位:神奈川79.9%となっています。また、ワースト3については、1位:沖縄53.5%、2位:島根57.4%、3位:高知59.1%となっています。
その他の保険については、次のようになっています。
対物賠償保険の加入率1位は、大阪82.6%、ワースト1位は、沖縄53.5%です。
搭乗者傷害保険の加入率1位は、大阪35.2%、ワースト1位は、島根18.4%です。
人身傷害補償保険の加入率1位は、愛知75.9%、ワースト1位は、沖縄48.7%です。
車両保険の加入率1位は、愛知57.3%、ワースト1位は、沖縄26.7%です。
大きな都市よりもわりとローカルな地域の方が、任意保険加入率が低いという傾向があるようです。大阪で5台に1台が未加入、沖縄で2台に1台が未加入と考えると、よりリアルに加入率の差を感じることができるのではないでしょうか。
任意保険に未加入の自動車との事故の場合は、自賠責保険での補償になります。補償に上限がありますから、自分や家族を守るためにも万が一に備えておきたいものです。
自動車事故で任意保険に未加入だとどうなるのか
相手の車が任意保険に未加入の場合
任意保険の加入率を見ると、相手の車が任意保険に加入していないということは、十分にあり得ます。未加入だった場合、十分な補償が受けられないこともありますから、自分で自分や家族のために対策をしておく必要があります。
無保険車傷害保険はほとんどの自動車保険で自動セットされていますが、補償範囲が限定されています。実際の損失額を補償してくれる人身傷害補償保険に加入しておくと心強いです。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
人身傷害補償保険(特約)とは?補償範囲と補償額の目安。いくらに設定すればいいのか
自分の車が任意保険に未加入の場合
自分の車が任意保険に未加入で事故を起こした場合、自賠責保険から保険金が支払われることになります。
自賠責保険では死亡3000万円、後遺障害4000万円と設定されています。交通事故の損害賠償額としては、1億円を軽く超えることもありますから、自賠責保険だけでは不十分です(参照:【補償金額の違い】自賠責保険の補償額だけでは不十分)。
また、コンビニやパチンコ店に突っ込んでしまった場合は物損事故となりますが、修理費用だけではなく営業利益の補償もありますから、この場合も1億円以上の損害賠償額になることは珍しくありません。
自賠責保険は対物賠償はしませんから、任意保険に未加入の場合はすべて自己負担となります。
任意保険では、対人賠償・対物賠償は無制限とするのが必須です。任意保険の加入をすぐに検討しましょう。
>>自分の保険料をちょっと確認してみる